神社ブームと御朱印帳
ハワイ出雲大社のオリジナル御朱印帳をデザインさせていただいた。以前、友人のバーベキューパーティーに出席したときに、ハワイ出雲大社の神職であるM氏とお会いし、野鳥や日本酒の話などで盛り上がった。そのM氏が、御朱印帳のデザインをやってくれるデザイナーを探しておられるということで、さらに別の共通の友人から私に話が回ってきた。私は快諾し、M氏とメールでデザインについてやりとりするようになった。
御朱印帳とは、寺社に参拝した証しとして、筆書きと印(朱印)を貰うための、和式のスタンプブックのようなもの。近年、「神社ガール」という言葉もあるくらい、若者の間でも神社ブームが起きているらしい。そして、各地の寺社の朱印を集める「御朱印ガール」も少なくないという。ハワイ出雲大社を参拝する日本人観光客の多くが、ハワイらしい朱印帳に興味があるようなので、オリジナルの御朱印帳を作ろうという話になったのだそうだ。
デザイン開始
まずは、ミーティングのためハワイ出雲大社に伺った。「せっかくですから」ということで、M氏から神社への入り方、手水舎の使い方など、細々と参拝作法を教わり、参拝した。もちろん、御朱印帳のデザインが成功することを祈願した。
ミーティングでは、社名を英語で入れることや、ハワイを感じさせるデザインであることなどを確認し、早速スケッチに取り掛かった。
まず、ハワイ出雲大社がKukui Streetという名前の通りに面していることに因んで、ククイの木をモチーフにしてみた。ククイは、『ハワイ州の木』でもあるため、ぴったりだと思った。さらに『ホノルル市の鳥』であるマヌオクー(シロアジサシ)を合わせてみた。実際、マヌオクーはククイの木の上で営巣することがあり、ハワイを象徴する木と鳥の組み合わせだ。
そうしてできあがった最初のスケッチが上の画像だ。これをハワイ出雲大社の皆さんに見てもらったところ、もっと一般的に知られたモチーフを使用した、誰が見てもハワイを連想するようなわかりやすいデザインにしてほしいとのことだった。そこで、次のスケッチでは、ハイビスカスやプルメリアなどのハワイを連想させる花と植物をちりばめて、さらにハワイの象徴として波を意匠した。今度はとても気に入っていただけた。
完成
ハイビスカスやプルメリアなどのハワイを連想させる花と植物をちりばめて、さらにハワイの象徴として波を意匠した。デザイン案が決まった後は、トントン拍子に事が進んだ。イラストとレイアウトが完成し、日本の印刷業者から送られてきたサンプルは、私が指定したとおりの色味で、大変満足のいく仕上がりだった。
出来上がった御朱印帳は、ピンク色と緑色の2種類がある。ピンク色のほうは紙の表紙にデザインがフルカラーで印刷されたもの。緑色のほうは、布地にデザインが金色の箔押しで入っている。
ハワイ出雲大社にて御朱印帳の頒布が開始されるとすぐに好評を得て、毎日のように多くの方が御朱印帳を受けていかれると聞いて安心した。
写真はすべて筆者による撮影