崎津 鮠太郎

Entries by 崎津 鮠太郎

日本酒EコマースTippsyのオリジナルトートバッグ

Tippsyトートバッグ『Team Warm』
Tippsyについて Tippsy(www.tippsysake.com)は、アメリカで日本酒をオンライン販売するベンチャー企業で、カリフォルニア州ロサンゼルスに拠点がある。300銘柄をこえる日本酒をボトルで販売してるほか、300mlのミニボトルが6本入った『Sake Box』のサブスクリプションも提供している。2018年の創業以来、私はクリエイティブディレクターとしてウェブサイトや印刷物のデザインやブランディングを担当している。 関連ページ Tippsy Sake 崎津鮠太郎デザインポートフォリオ Facebook内のトピックからできたプロジェクト Tippsyは『Tippsy Sake Club』というFacebookグループを開設していて、1000名をこえるメンバーによる活発な交流がオンラインで行われている。ある日、メンバーの一人からこんな投稿があった。 “When drinking sake, are you Team Chill or Team Warm?” 冷酒派のことを「Team Chill」、燗酒派のことを「Team Warm」と投稿者が名付けて、「日本酒を飲むとき、あなたはTeam ChillですかTeam Warmですか?」と聞いてみたわけである。この投稿には70以上の面白いコメントが寄せられ盛り上がった。 この盛り上がりをうけて、TippsyではTeam ChillとTeam Warmのグッズを作ることになった。Tシャツやコースターなどのアイディアもあったが、最初のグッズはトートバッグに決まった。私がイラストを描くことになった。ちなみに常夏のハワイでも「酒は純米、燗ならなお良し」を実践している私は、断然Team Warmである。 私はもちろんTeam Warm! トートバッグ制作会社を探す インターネットでいくつかのトートバッグ制作会社を探した結果、Enviro-Toteという1990年からトートバッグを作っている家族経営の会社がよさそうだった。クオリティの高いアメリカ製トートバッグは高い評価を得ているようだった。なによりもウェブサイトが見やすかったのが決め手となった。 Enviro-Toteの担当者とメールで見積もりやカスタマイズ依頼のやり取りをしていくうちに、カスタマーサービスの質が高い信頼できる会社であることがわかってきた。返事はすぐに来るし、的確かつ誠実に当方の質問や要望に答えてくれた。カスタマーサービスは最後まで大変満足のいくものだった。 イラストの作成 冷酒と燗酒をテーマにイラストを描くことになったわけだが、ありきたりのものでは面白くない。なにかユーモラスでファンタジックなものにしたいと思い、Team Chillでは人魚が冷酒を飲んでいて、Team Warmでは女性が盃の風呂に浸かって燗酒を飲んでいるというアイディアに行き着いた。 最初のドローイング アイディアをスケッチにしてTippsyのスタッフに見せてみたところ気に入ってもらえた。まずはTeam Chillのトートバッグを作ることになった。 イラストは目の粗いキャンバス生地に直接プリントされるため、線が細い精密な描写はできない。Enviro-ToteのスペックシートにはAdobeイラストレーターで1.5ポイントより細い線は使うべきではないと書かれている。印刷されない部分の隙間も2ポイント以上が推奨されている。このことに注意を払いながらイラストレーターで作画した。結果的に最初のドローイングよりもかなり簡素化されたイラストになった。 簡素化された最終的なベクターアート 完成 Tippsyトートバッグ『Team Chill』 Tippsyトートバッグ『Team Warm』 完成品のトートバッグはとてもいい出来栄えだった。幅46センチ、高さ37センチの丈夫なバッグは一升瓶でも十分に運べそうだ。バッグの内側にはスマホや財布が入る大きめのポケットがついていて、使い勝手がいい。 スクリーンプリントされたアート 小物入れに便利な内ポケット トートバッグは、Tippsyのウェブサイト(www.tippsysake.com)で販売されている。

カイムキのピルボックス・ファーマシーが閉店

ピルボックス・ファーマシー
寂しいニュース 「ピルボックスが閉店するらしいよ……」 「えっ?」 2020年9月の初めに飛び込んできた、ショッキングなニュースだった。 ピルボックスとは、ホノルル市カイムキ地区の11thアベニューにある小さな薬局『The Pillbox Pharmacy』のこと。1974年に現在の場所にオープンして以来、半世紀近くにわたって多くの住民に親しまれてきた店だ。 薬の他に日用品、雑貨、文房具、スナック菓子、ハワイ土産なども売っている。特に、オレゴン州のカスケード・グラシア社(Cascade Glacier)のアイスクリームが有名な店でもある。 正面入口から見た裏口側。裏口が階段を4段上がって高くなっているのは坂の町カイムキならでは オレゴンのカスケード・グラシア社のアイスクリーム ジェームス・リー・マッケルヘイニー氏 初代オーナーは “Head Pill” や “Mac” の愛称で知られたシカゴ出身のアイルランド系薬剤師、ジェームス・リー・マッケルヘイニー氏。患者ファーストの姿勢を貫き、いつも親身に相談に乗って顧客との信頼関係を築きあげた。家族経営の小さな店ながら、チェーン店のドラッグストアとの競争に負けることなく切り盛りしてきた。 シカゴで薬局を営んでいたマッケルヘイニー氏は、1960年代に妻のローズマリー氏とバケーションでハワイを訪れた。二人ともハワイがすっかり気に入り移住を決意。3人の子供を連れてホノルルに引っ越した。 クイーンズホスピタルやアイナハイナの薬局で働いたのち、1974年11月に独立店をカイムキの現在の場所に開いた。故郷シカゴの彼が生まれ育った界隈の雰囲気にカイムキが似ていたためこの場所を選んだのだそうだ。 開業当時はアイスクリームの他にサンドイッチも売っていたという。 地元民に愛されたマッケルヘイニー氏だったが、2007年3月9日に79歳で他界した。白血病を患っていたが、当時の約6000人の彼の顧客の多くは、彼が病気であることすら知らなかったらしい。 奇しくもアイリッシュの祭典であるセントパトリックス・デーの一週間前だった。セントパトリックス・デーの後、ダウンタウンのアイリッシュパブ『O’Toole’s』で追悼の会が開かれた。過去の従業員たちやマッケルヘイニー氏の多くの顧客が訪れたそうだ。 新型コロナで経営難に ピルボックスは、マッケルヘイニー氏の息子であるスチュアート・マッケルヘイニー氏が受け継いだ。父のモットーを守り、顧客と密着した経営スタイルで今日まで店の看板を守ってきた。 ところが、大型チェーンのドラッグストアがホノルル市内に増えるにつれて、経営は厳しくなっていった。そこに今年の新型コロナのパンデミックがダメ押しとなり、閉店することになった。店を受け継いだ2007年には1日平均130件ほどあった処方薬のオーダーは、現在では1日10軒以下しかないという。 最後のアイスクリーム 数十年間ほぼ変わらない雰囲気の店内 年季の入ったアイスクリームケース 店の中も外の様子も、私がカイムキで暮らし始めた2001年当時から約20年間ほとんど変わっていない。いや、店の古い写真から察するに、むしろ開店当時からそれほど大きくは変わっていないのではないか。 ピルボックスのような個人経営の薬局は、現在ハワイ州内に約10軒ほどあるそうだが、そのうちの1軒が今ひっそりと看板を下ろそうとしている。カイムキは古いホノルルの雰囲気を残す老舗が比較的多いエリア。そのうちの代表的な店の一つがなくなってしまうのはほんとうに寂しい。 「ピルボックスが閉店するらしいよ」 とローカルの同僚に教えると、すぐに彼から返ってきた言葉は 「なんてこったい……よし、じゃあ、アイスクリーム買ってきてオフィスのみんなで食べよう」 もちろん賛成。ピルボックスが46年の歴史の幕を下ろすのは11月14日。それまでにできるだけたくさんピルボックスのアイスクリームを食べて、古き良きカイムキの思い出に浸りたい。 写真はすべて筆者による撮影 参考記事 The Pillbox Pharmacy, a Kaimuki fixture for 46 years, to close its doorsPillbox Pharmacy in Kaimuki to close after 46 years in business'Mac' made The Pillbox a fixture

月別・季節別にみるハワイの花と歳事記

ゴールドツリー
はじめに 日本在住の方から「今度ハワイに行くときに目当の花が咲いているのかどうかを知りたい」という内容のお便りをいくつかいただいたので、月別・季節別に分けたハワイの花の一覧表を作ることにした。 この表を作るために、私は2018年1月から日々の生活のなかで花の開花時期と咲き具合に特に注意して観察メモをつけ続けてきた。観察は今後も続けていく予定なので、気候の変動によって変化が見られた場合や、ある花は咲かないと思っていた月に開花が観察された場合などには、随時更新していく。 表は、本やネットから得た情報ではなく、私自身の年間を通した観察に基づいて作ったものなので、当然、私が普段暮らしているホノルル市内、特にカイムキ地区やカハラ地区での観察記録が多い。そのため、たとえホノルルでも他の地域とは多少の差異があるかもしれない。あくまでも参考程度にしていただきたい。 ホノルル以外では、オアフ島ワヒアワのカンヒザクラと、マウイ島クラのジャカランダの2種は、特に知りたい方が多いと予想されるので例外的に追加した。 ホノルル市内でも山間部に入ればオーヒア・レフア、コア、マウンテン・ナウパカなどの固有種の花も見られるが、年間を通した開花のデータを得ていないので表には入れていない。 このページに記した植物の解説は省略する。それぞれの花について詳しく知りたい方は、私が公開している姉妹サイト『アヌヘア:ハワイの花・植物・野鳥図鑑』や、近藤純夫さんの著書『ハワイアン・ガーデン 楽園ハワイの植物図鑑』などをご覧いただきたい。 表の記号の見方 たくさん咲いている◎咲いている○少し咲いている、あるいはその月の一部期間のみ咲いている△咲いていない×データ不足? 春の花(3月・4月・5月) プルメリア(グローブ・ファーム) ジャカランダ(シウンボク) ハワイでも春は花の季節。ハワイの都市部で春の訪れを告げる花といえば、やはりプルメリアだろう。冬に全く花をつけないわけではないが、暖かくなると花が増え始め、4月頃には町はふくよかな香りに包まれるようになり、春爛漫を感じさせる。 マウイ島のクラ、プカラニ、オリンダやハワイ島のコハラなどにはたくさんのジャカランダ(シウンボク)が植えられており、春に美しい紫色の花をつける。 森では、コア、マーマネ、アーカラなど多くの固有種たちが春に花のピークを迎える。 3月4月5月オクトパスツリー(ハナフカキ)○○○カンヒザクラ(オアフ島ワヒアワ)×××ゴールドツリー◎◎○ジャカランダ(マウイ島クラ)○○◎シャワーツリー(ゴールデン)×△○シャワーツリー(ピンクアンドホワイト)△△○シャワーツリー(ピンク)×◎○シャワーツリー(レインボー)△△○ハラ???ピーカケ○○○ピタヤ××△プルメリア(オブツサ種)○○○プルメリア(ルブラ種)○◎◎ホウオウボク(ロイヤル・ポインシアナ)△○○ホンコン・オーキッドツリー○○○モンキーポッド△○◎ 夏の花(6月・7月・8月) レインボーシャワー(ウィルヘルミナ・テニー) モンキーポッド ハワイに長く住む人が「ハワイの夏の花といえば?」と聞かれれば、多くがレインボーシャワー、中でも特にウィルヘルミナ・テニーを挙げるだろう。様々なトーンからなるピンク色の花を木いっぱいにつける姿は圧巻である。また、『この木なんの木』で有名なモンキーポッドは、初夏にピンク色の花が満開になる。 6月7月8月オクトパスツリー(ハナフカキ)○◎◎カンヒザクラ(オアフ島ワヒアワ)×××ゴールドツリー○○×ジャカランダ(マウイ島クラ)○××シャワーツリー(ゴールデン)◎○△シャワーツリー(ピンクアンドホワイト)○○△シャワーツリー(ピンク)△××シャワーツリー(レインボー)○◎◎ハラ??△ピーカケ○○○ピタヤ△△△プルメリア(オブツサ種)○○○プルメリア(ルブラ種)○○○ホウオウボク(ロイヤル・ポインシアナ)○○○ホンコン・オーキッドツリー△△△モンキーポッド◎○○ 秋の花(9月・10月・11月) ピタヤ 夏から秋にかけての夜には、「ハワイの月下美人」とも言われるピタヤが1シーズンに数回だけゴージャスで神秘的な花をつける。ホノルルのプナホウ・スクールの生垣が特に有名。 9月10月11月オクトパスツリー(ハナフカキ)◎○○カンヒザクラ(オアフ島ワヒアワ)×××ゴールドツリー×××ジャカランダ(マウイ島クラ)×××シャワーツリー(ゴールデン)△△△シャワーツリー(ピンクアンドホワイト)△△×シャワーツリー(ピンク)×××シャワーツリー(レインボー)○○△ハラ?△△ピーカケ○○○ピタヤ△△△プルメリア(オブツサ種)○○△プルメリア(ルブラ種)○△△ホウオウボク(ロイヤル・ポインシアナ)○○○ホンコン・オーキッドツリー△○○モンキーポッド○○○ 冬の花(12月・1月・2月) カンヒザクラ ホンコン・オーキッドツリー オアフ島の内陸部に位置するワヒアワや、ハワイ島のワイメアでは、日系人によって植えられたカンヒザクラが1月から2月にかけて濃いピンクの花をつけ、町の人たちの目を楽しませる。ワイメアでは1993年より毎年2月に桜祭りも開かれている。また、ラン(オーキッド)に似た紫紅色の美しい花が人気のホンコン・オーキッドツリーも冬に花のピークを迎える。 12月1月2月オクトパスツリー(ハナフカキ)○△△カンヒザクラ(オアフ島ワヒアワ)×△△ゴールドツリー××○ジャカランダ(マウイ島クラ)×××シャワーツリー(ゴールデン)×××シャワーツリー(ピンクアンドホワイト)×××シャワーツリー(ピンク)×××シャワーツリー(レインボー)△△△ハラ△?△ピーカケ△△○ピタヤ×××プルメリア(オブツサ種)△△△プルメリア(ルブラ種)△△△ホウオウボク(ロイヤル・ポインシアナ)△△△ホンコン・オーキッドツリー◎◎◎モンキーポッド△△△ ハワイで一年中見られる花 ビーチ・ナウパカ レッドジンジャー 以下にリストした植物は、私が2018年から観察しているかぎり、時期による大きな変化なく一年を通して花をつけるようなので、表には入れていない。どの時期にハワイを訪れてもこれらの花は見ることができるだろう。 アサヒカズラ(メキシカン・クリーパー)アンスリウムイリマオオゴチョウカエンボク(アフリカン・チューリップツリー)キアヴェククイクラウンフラワーコア・ハオレゴクラクチョウカタビビトノキティアレハイビスカスハウ(オオハマボウ)ビーチ・ナウパカプア・ケニケニブーゲンビリアミロ(サキシマハマボウ)レッドジンジャー

ハワイの風を感じるスマホケース(花、野鳥、フラガール、サーフィン、その他)

イイヴィの手帳型ケースとダイヤモンドヘッド三十六景のiPhoneケース
オリジナルスマホケースが日本で発売 ハワイの花、野鳥の写真や絵、フラガールやサーファーガールのイラストなどの私の作品が印刷されたオリジナルスマホケースが、2019年11月よりトキメキデパートにて日本向けにオンライン販売されています。SIMMA Hawaiiさん(https://simma.life)とのコラボレーション商品です。 ガラス製iPhoneケース ガラス製iPhoneケース ガラス製iPhoneケースの背面には、傷がつきにくい強化ガラスが使用されていてアート作品の劣化を防ぎます。側面はTPU樹脂で保護されています。柔らかい素材なので持ちやすく、ケースの付け外しも簡単です。側面は黒色と白色から選べます。2020年9月現在、iPhone7〜11までの各機種に対応しています。¥3,630(税込)。 写真の野鳥は、中央がマヌオクー(シロアジサシ)、右がネーネー(ハワイガン)です。 手帳型スマホケース 手帳型スマホケース PU(ポリウレタン樹脂性)レザーの手帳型スマホケースです。内側の粘着パッドにスマホ本体を貼り付けるタイプです。MサイズとLサイズの2種類があり、MサイズはiPhone6、6s、7、8、X、Xs等に、LサイズはiPhone6plus、7plus、8plus、XsMax、XR等を対象にしています。¥3,960(税込) 写真の野鳥は左からアパパネ(アカハワイミツスイ)、ハワイ・アマキヒ、イイヴィ(ベニハワイミツスイ)です。鳥たちがとまっている木は、すべてオーヒア・レフアです。 ウッド製iPhoneケース 『虹のイルカ』iPhoneケース(左:ウッド製、右:ガラス製) 天然木を使用した高級感のあるiPhoneケースです(写真左)。天然木に直接UV印刷します。私のイラスト作品とは特に相性がよさそうなので、これから積極的にこのウッド製ケース用にハワイの花や鳥の写真や絵、フラガールやサーファーガールなどの絵を用いて商品化を進めていく予定です。¥3,960(税込) 上の写真は、『Nai‘a o ke Ānuenue(虹のイルカ)』という作品です。10年以上前から温めていたイラストでしたが、この度ようやく世に出ることになりました。 『ダイヤモンドヘッド三十六景』シリーズ 『ダイヤモンドヘッド三十六景』シリーズのガラス製iPhoneケース 『ダイヤモンドヘッド三十六景』シリーズは、現在完成しているNo.4まですべて商品化されています。こちらはガラス製iPhoneケースのみとなります。 写真は、上から時計回りに『ダイヤモンドヘッド三十六景』No.3 デューク・カハナモク・ラグーン、No.4 マジックアイランド、No.1 ワイキキ・ベイ、No.2 カワイホアです。 リクエスト 商品は随時追加していく予定ですが、例えば「赤いハイビスカスの写真がプリントされたスマホケースが欲しい」みたいなリクエストにお答えすることが可能な場合もございます。リクエストにお応えできそうな写真や絵がすでにある場合で、写真や絵をお気に召していただければすぐに商品化するよう対処いたします。リクエストがございましたら、コンタクトフォームよりお気軽にご連絡ください。当ウェブサイトの運営会社であるStudio Elepaioの担当者よりお返事いたします。 多くのアーティストが参加 私の他にも、ヒロ クメさん、ヒロックショウさん、プカラニさん、マエダ メグさん、宮園苺さん、MĀLAMA Art&Designさん、小野澤篤人(AMAZONICA)さん、タツ ロドリゲスさん、Ryujinさん、谷口周郎さん、YUKI Komatsuさんといった個性豊かな多くのアーティストの皆さんの素敵な作品が販売されています。いろいろな作品を見ているだけでも楽しいので、特にハワイアンなアートや写真が好きな方はぜひトキメキデパートのオンラインストア(https://tokimeki.shopping)をご覧ください。 ※このページに掲載している商品情報やスペックは2020年9月時点のものです。ご購入の際はトキメキデパートのオンラインストアにて最新情報をご確認ください。

ビルボード(屋外大型看板広告)がないハワイ

マルヒア・ロード(カウアイ島)
ハワイの美しい景観を守るため 車でホノルル空港から高速道路をワイキキ方面に向かうとき、ハワイで最も賑やかなカラカーウア大通りを歩くとき、アラモアナセンターでショッピングするとき、あるいは、ドールプランテーションを過ぎてパイナップル畑を脇に見ながらノースショアへ向かうとき——いかなる場面でも、景観の面でハワイが日本やアメリカの他の州と際立って違うのは、どの道路沿いにもビルの屋上や壁にも、企業などの大きな看板広告、いわゆるビルボードがないということである。ひとつもない。 それもそのはず、ハワイ州では、1927年という昔から、屋外におけるビルボードの設置が法律で禁止されているのである。理由は単純明快、ハワイの美しい景観を守るため。 海と山に囲まれたハワイでは、街中の道路からでも美しい自然を眺めることができる。その景色が、人工的なビルボードによって邪魔をされないのは、よいことだと思う。ハワイでも、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット、交通機関など、あらゆる媒体に広告は存在するし、資本主義社会で広告は必要不可欠なものでもある。だがせめて、自然の景観くらいは広告なしでいいではないかという考えなのだろう。 ハワイ州がパイオニア ワイキキの目抜き通りカラーカウア通りでさえもビルボードはない ハワイ州以外にも、ビルボードを設置することを禁止している州はある。ヴァーモント州、メイン州、アラスカ州がの3州がそうだ。 ヴァーモント州では、やはり景観を守るために、1968年にビルボードの設置が禁止された。続いてメイン州で1977年に、アラスカ州で1998年に禁止された。 ハワイ州も含めて、どの州も自然が豊かで、観光が主要産業もしくは成長産業であることが共通点だ。ビルボード禁止の法律ができたのは、ハワイ州が最も早い。ハワイ州の次に早いヴァーモント州より41年も前の1927年にすでに施行されている。 ハワイで長く暮らしていると、無意識のうちに、ビルボードがない景色が当たり前になってくる。そんなハワイに慣れてしまった私が日本に帰省したとき、街中の看板やのぼり旗の多さに、むしろ驚いてしまう。 渋谷(東京)| 写真:Jezael Melgoza だが、看板やのぼり旗が街に活気と賑やかさを与えてくれるのは確かな事実であるので、その存在を否定はできない。ニューヨークのタイムズスクエアの華やぎは、巨大看板やディスプレイがあってこそのものだし、日本の繁華街でも同じことが言えると思う。 タイムズスクエア(ニューヨーク)| 写真:Luca Bravo ハワイ以外の場所の都市景観論はさておき、景観を守るために、ビルボード禁止という思いきったことをアメリカの中でも最初に行なったハワイ州。ハワイを訪れた観光客は、普段から自分の町で目にするビルボードがまったくないという、ある意味不思議な景色をみて、まさに別天地にやって来たような、うきうきとした気分になれるのにちがいない。

ハワイの柿

ホノルル市内のスーパーに並ぶ富有柿
冬の楽しみ 南国ハワイの果物といえば、マンゴー、パパイヤ、パイナップルなどを普通は思い浮かべるだろう。バナナ、アボカド、最近はドラゴンフルーツ(ピタヤ)も人気だ。そんなフルーツ天国ハワイの人々が——私も含めて——毎年10月~12月の短い季節限定で楽しみにしている意外な果物が柿である。 ハワイで出会った日本の柿 日本の秋冬を代表する果物のひとつだが、アメリカ人が柿を好んで食べるというイメージはまったくなかった。実際、1990年以前のハワイでは、柿は今ほどポピュラーな果物ではなかったらしい。だから私は、ハワイのスーパーマーケットで普通に柿が並んでいるのを初めて見たとき、その意外な出会いに驚いて思わず買ったことを覚えている。 ハワイの柿は、富有柿(ふゆうがき)や蜂屋柿(はちやがき)などの日本の品種で、スーパーや青果店では、それぞれローマ字で「Fuyu」、「Hachiya」と表記される。シーズン前半には「Maru」という黄色い品種もある。 Fuyu(富有) シャクシャクとした食感のFuyu(富有) 鮮やかなオレンジ色の甘柿。ハワイで流通している柿のほとんどはこの品種。シャクシャクとした食感。 Hachiya(蜂屋) クリーミーなHachiya(蜂屋) やや細長く、先が尖っている渋柿。収穫してすぐは渋くて食べられないが、追熟させて柔らかくなると、強い甘味を持つようになる。とろりとしたクリーミーな舌触り。スプーンですくって食べるほか、凍らせて食べる人も多い。 Maru 黄色っぽい渋柿。渋抜き処理を施してから出荷される。渋抜き後は、前の2品種よりも甘くなり、味も良いという。残念ながら私はまだ見たことも食べたこともない。 値段 2016年10~11月にホノルル市内で調べてみたところ、町の小さなポップアップ・ストアの青果店では、1ポンド(約450グラム)あたり1.99~2.99ドル(表記はなかったがおそらくFuyu)、スーパーマーケットでは2.99ドル(Fuyu)、日系のスーパーでは3.59ドル(Fuyu)、グルメスーパーとよばれる比較的高級な店(ホールフーズなど)ではFuyuが5.99ドル、Hachiyaが6.99ドルだった。 1個の重さはだいたい0.40ポンドくらいだから、1.99ドル/ポンドの場合は1個0.80セント、6.99ドル/ポンドの場合は1個2ドル80セントということになる。このように店によって値段は3倍以上も変わるが、グルメスーパーをのぞけば普通の相場はだいたい1個1ドル前後というところだろうか。 マウイ島クラの柿農園 マウイ島にそびえる巨峰ハレアカラー山(3,055m)。その西側の裾野にクラ地区がある。真夏の日中でも気温が25度を超えることはなく、冬の朝方は10度以下まで下がる。ハワイのなかでは冷涼な地域である。降水量も少ない。この気候が、柿の木を育てるのに適しているという。 そんなクラの地に、ハシモト・パーシモン・ファーム(Hashimoto Persimmon Farm)という100年以上の歴史を持つ柿の果樹園がある。Shinichi Hashimotoさんという日系1世の人が開いた農園だ。現在もかれの子孫のハシモト一家によって経営されていて、ハワイ産の柿のほとんどがこの果樹園と近所にあるもうひとつの果樹園で収穫されたものである。全収穫の半分は、農園で直売されるという。 ハワイで流通している柿のほとんどはカリフォルニアなどのアメリカ本土産であるが、たまにハワイ産のものもある。店頭で「Local」や「Locally Grown」、あるいは「Grown in Hawaii」などと記されていたら、それがマウイ島クラ産の柿である。せっかくハワイにいるなら、クラの柿を味わいたい。 写真はすべて筆者による撮影

ハワイの蝶:カメハメハ・バタフライとコア・バタフライ

コア・バタフライ
2種の固有種 色とりどりの花が一年中咲いているハワイの公園や庭では、たくさんの蝶をみることができる。これらの蝶のほとんどは、他の地域から人間によってハワイに持ち込まれた外来種で、もとからハワイにすんでいる蝶は、実はわずか2種類しかいない。 ひとつは、タテハチョウ科のカメハメハ・バタフライ(Kamehameha butterfly、学名:Vanessa tameamea)、もうひとつはシジミチョウ科のコア・バタフライ(koa butterfly、学名:Udara blackburnii)である。2種とも、ハワイ諸島のみに生息する固有種だ。 世界に20,000種近い蝶がいるといわれるなかで、ハワイ原産の蝶がたった2種類というのは、少ないように思える。これはまず、地球上のあらゆる大陸から遠く離れているハワイ諸島は、蝶にとってたどり着くにはあまりにも遠すぎるということだろう。また蝶は、幼虫が食べるための草(食草)や木(食樹)が種によって限定されている場合が多い。つまり、運良くハワイまでたどり着いた蝶がいたとしても、その蝶に適した食草や食樹がハワイに存在しなければ、定着できないことになる。 カメハメハ・バタフライ カメハメハ・バタフライ | 写真:Forest & Kim Starr ハワイ諸島を統一したカメハメハ1世に敬意を表して名付けられた蝶。羽を広げた時の長さは5.5~7.5センチ。羽は濃いオレンジ色、羽の縁は黒色で、いくつかの斑紋がある。カホオラヴェ島以外のハワイの主要8島で生息が確認されている。山地のハイキングトレイルや森の開けた場所などでみることができる。主にマーマキ(māmaki、学名:Pipturus albidus)というイラクサ科の低木または小高木に産卵し、幼虫はマーマキの葉を食べて育つ。ハワイ語で蝶や蛾のことをpulelehuaというが、これは特にカメハメハ・バタフライのことを指しているようだ。 コア・バタフライ 緑色の小さな蝶。羽を広げた時の長さは2.2~2.9センチ。オスの前羽の根元付近は青みがかっている。後羽はやや青みが少ない。メスの羽の表側は灰色がかった茶色。羽の表側はオスもメスも玉虫のような緑色で、メスの方が明るい。ハワイの蝶で羽の表側が緑色なのはコア・バタフライだけである。その名の通り、主にコア(koa、学名:Acacia koa)の木に産卵し、幼虫は花を食べて育つ。他にアアリイ(ʻaʻaliʻi、学名:Dodonaea viscosa)などにも産卵することがわかっている。カメハメハ・バタフライ同様、カホオラヴェ島以外のハワイの主要8島で生息が確認されている。コアの木が生えている山地で見られるが、昔よりは数が減っているらしい。 以上の2種は、それぞれの祖先がいつの時代か偶然ハワイにたどり着き、運良く適切な食樹があったため定着に成功し、ハワイの環境に合わせて独自な進化を遂げた蝶たちだ。町中や海辺で見られることはほぼないので、ハワイで山にハイキングに出かけるチャンスがあれば、ぜひこれらの美しい蝶たちを探してみてほしい。 参考文献 Dean Jamieson, Jim Denny『Hawaiʻi’s Butterflies & Moths』Mutual Publishing(2001年)

ハワイの蝶:モナークチョウ(オオカバマダラ)

オオゴチョウの花の蜜を吸うモナークチョウ
有名な渡り蝶 ハワイの町のあちこちでオレンジ色の美しいモナークチョウがひらひらと飛んでいる姿を見ることができる。タテハチョウ科に属する中型の蝶で、オオカバマダラ、王様蝶とも呼ばれる。英語名はmonarch butterflyといい、北アメリカでは最もよく知られる蝶のひとつである。学名はDanaus plexippus。レペレペ・オ・ヒナ(lepelepe-o-Hina)というハワイ語名があるが、固有種のカメハメハ・バタフライ(Vanessa tameamea)も同じ名で呼ばれる。 アメリカ本土のモナークチョウは、越冬のためにカナダからメキシコまで、3,000キロ以上もの距離を、世代を重ねながら旅する渡り蝶として知られている。しかし、ハワイに生息するモナークチョウは越冬地を探す必要がないため、渡りをすることはめったにないようだ。 ハワイに元からいたわけではなく、1841年から1852年の間に北アメリカからやってきたとされている。自力で太平洋を渡ってきたのか、それとも人間によって持ち込まれたのかは、わかっていないらしい。 特徴 クラウンフラワーの葉にとまるモナークチョウ(ホノルル市内) 羽を広げた時の大きさは10センチくらいである。羽は黒地にオレンジ色の模様があり、縁の付近は黒色で白の斑点がある。ハワイに生息する他の蝶との見分けはつきやすい。幼虫は黄色、クリーム色、黒色の縞模様で、両端にそれぞれ2本の触角のようなものがある。 分布 ハワイの主要8島ではカホオラヴェ島を除いた全ての島での生息が記録されている。 オアフ島とハワイ島には、オレンジの部分が白い、ホワイトモナーク(white monarch)と呼ばれる個体もみられる。ホワイトモナークは世界各地のモナークチョウで稀に見られるそうだが、どういうわけかハワイでは発生率が高いという。またカウアイ島には、茶色の珍しいモナークチョウも生息しているそうだ。 食草 モナークチョウのハワイでの定着は、幼虫の第一の食草であるトウワタ(Asclepias curassavica)のハワイへの移入と関係があるらしい。トウワタがハワイで定着したのちに、モナークチョウが見られるようになったからだ。 モナークチョウの幼虫は、トウワタのほかにクラウンフラワー(アコン、Calotropis gigantea)などのガガイモ科の植物の葉を食べる。トウワタやクラウンフラワーに含まれる独特の乳液状の物質を吸収した幼虫は、鳥にとっては毒なので、鳥はモナークチョウの幼虫を襲わないのだそうだ。 ただし、オアフ島に外来種として定着しているシリアカヒヨドリ(Pycnonotus cafer)とコウラウン(Pycnonotus jocosus)は、モナークチョウの幼虫を食べることができるという。なお、トウワタも以前はガガイモ科に分類されていたが、現在はキョウチクトウ科に分類されている。成虫は、トウワタを含めた様々な花の蜜を吸う。 クラウンフラワーの花(ホノルル市内) クラウンフラワーは花がレイに使われ、ハワイではとても人気がある。民家の庭にもよく植えられているため、ハワイでモナークチョウの幼虫を探すのには最適である。クラウンフラワーの周りにはモナークチョウの成虫の姿もよく見られる。 写真はすべて筆者による撮影 参考文献 Dean Jamieson, Jim Denny『Hawaiʻi’s Butterflies & Moths』Mutual Publishing(2001年)

ビーチサンダルは“スリッパーズ”と呼ぶのがハワイ流

ビーチサンダル
外出はいつでもどこでもビーチサンダル ハワイのローカルたちの足元の定番といえば、年中いつでもどこでもビーチサンダルである。ビーチに行くときだけでなく、カジュアルなレストラン、ショッピング、パーティーなどでも普通に履く。ときには結婚式にもビーチサンダルで出席する人もいる。もちろん、時と場合によってはビーチサンダルは禁止の場所も少なくないので注意が必要だ。 私は、元々は外出時に足のつま先が出ていることがあまり好きではなかったが、ハワイに来て20年が経とうとする今ではほぼ毎日、ビーチサンダルで外出するようになった。なによりも楽だし、突然の雨だって平気だし、足が蒸れないのがいい。 “Slippers”と呼ぶのがハワイ流 サンダル(sandals)のなかで、ゴムやビニールなどの素材でできていて鼻緒がある草履型のものをビーチサンダルという。英語では一般的にflip-flops(フリップフロップス)と呼ばれる。flipには「ぽんと弾く」とか、「ぴしっと打つ」などの意味があり、flopは「バタバタと動く」という意味。ビーチサンダルを履いて歩くときのペタペタとした音からつけられた一種のオノマトペである。ところがハワイの人たちは、ビーチサンダルのことをflip-flopsとはあまり言わずに、slippers(スリッパーズ)と言う。 Slippersは、本来の英語ではつま先部分が隠れた室内用の上履きのことで、通常、低いかかとがついたものをさす。日本のトイレなどで使う「スリッパ」の語源だと思うが、英語で日本のスリッパに本来近いのはscuffsやmulesなどであり、多少ややこしい。 とにかく、ハワイでは、外履きに使うビーチサンダルのことをスリッパーズという。レストランなどでビーチサンダルが禁止のドレスコードがある場合、ハワイでは「no slippers(スリッパーズ禁止)」と書かれている場合もある。 ハワイを代表するアイコンのひとつ スリッパーズは、サーフボードやヤシの木などと同じく、ハワイを代表するアイコンのひとつとなっていて、ハワイをイメージするイラストや、アロハシャツなどにも描かれる。また、アクセサリーのモチーフとしても人気があり、可愛らしい小さなスリッパーズが意匠されているネックレス、イヤリング、ベリーリングなどが作られている。スリッパーズの専門店も多く、店内には男女それぞれ向けの様々なデザインのスリッパーズがずらりと並んでいる。 室内では履物を脱ぐのもハワイ流 履物でもうひとつ、ハワイならではの文化がある。ハワイでは、家の中には履物を脱いであがるのが一般的なのだ。もちろん日本では当たり前のことなのだが、アメリカ人であるハワイのひとたちのほとんどが、室内ははだしで過ごす。日本の移民たちが持ち込んだ風習がいつの間にかハワイ中に広まったものだと言われている。 ホームパーティーなどでは、アメリカ本土からの客人が靴のまま家にあがろうとするので、家の人があわてて「Oh, no! ちょっと待って! 靴を脱いでください!」と制止する光景がよく見られる。