ハワイの地名:その他の地名

ハワイの地名:その他の地名

ハワイの地名といえば……

前回前々回と、鳥にちなんだハワイの地名を調べてみたが、ハレイヴァなどの一部を地名を除いては一般的に知られていないものが多かった。今回は、鳥に関係なくもっとよく知られたハワイの地名をいくつか紹介したい。

ワイキキ、アラ・モアナ、カイルア、ラニカイ、ハナウマハワイの地名といえばまずこれらを思い浮かべる人が多いだろう。これらの地名は、もちろんすべてハワイ語である。

ハワイ Hawaiʻi

まずそもそも、ハワイとはどういう意味だろうか?

ハワイは、諸島全体の名前であり、通称「ビッグアイランド」と呼ばれる、最大の島の名前でもある。正確な発音は「ハヴァイイ」であるが、すでにあまりにも広く知られている名前なので、ここでは通例通り「ハワイ」と表記する。この名は、ニュージーランドやマルケサス諸島北部(ハヴァイキ、Havaiki)、クック諸島(アヴァイキ、ʻAvaiki)、サモア(サヴァイイ、Savaiʻi)など、ポリネシアはでいくつかみられる。これらの地域では共通して「祖国」もしくは「黄泉(よみ)の国」の名前を指す言葉であるが、ハワイにはそういう意味はない。しかし語源が共通した言葉である可能性は高いであろう。また、ハワイの語源はハワイロア(Hawaiʻiloa)という人物の名前に由来するとも言われている。ハワイロアは、彼の家族と8人の航海員とともに最初にハワイに住み着いたとされる伝説上の人物である。

マウナ・ケアの夕日
ハワイ島マウナ・ケアの夕日

以上のように、ハワイの語源は諸説あるが、そのほかの有名な地名は意味や由来が比較的わかりやすい。

ワイキキ Waikīkī

ハワイ観光の中心地ワイキキは、「噴き出す水」という意味である。正確には「ワイキーキー」と伸ばして発音する。ワイキキ一帯は昔は湿地であり、アラワイ運河ができる以前はマキキ、パーロロ、マーノアから流れる川がワイキキを通って海に注いでいたという。

ワイキキ(ロイヤルハワイアンホテル)
「噴き出す水」という意味があるワイキキ

アラ・モアナ Ala Moana

ハワイ最大のショッピングセンターがある、観光客にもおなじみの地名アラ・モアナは、直訳すると「海道」となる。

アラモアナビーチバーク
アラ・モアナを海側から望む

カイルア Kailua

オアフ島のウインドワードに位置する、お洒落な町として観光客にも人気があるカイルアは、「二つの海」という意味。ハワイ島のコナ、マウイ島のパーイアにも同じ名前の地名がある。

ラニカイ Lanikai

そのカイルアにあるラニカイ地区は、以前はカオーハオ(Kaʻōhao)と呼ばれていた。1924年から開発が始まり、現在のラニカイに改名された。「天国の(ような)海」という意味だが、英語の「heavenly sea」を直訳してハワイ語にしたものと思われる。普通ハワイ語では修飾語は名詞の後にくるから、本来なら「カイラニ(Kailani)」とすべきところだろう。

カーネオヘ Kāneʻohe

カイルアの西隣の町カーネオヘは、「竹男」という意味。昔この場所に住んでいた乱暴な男の妻が、夫を「竹(ohe)で作ったナイフのような男だ」と揶揄したという話が地名の由来だという。

ハナウマ Hanauma

穏やかな湾内でのスノーケリングで人気があるハナウマは、「カーブした湾」や「腕相撲湾」などの意味が考えられるが、弧を描くような湾の地形から付けられた名前と考えるのがもっとも自然かと思える。なお、ハナ(hana)は湾という意味なので、ハナウマ湾や、ハナウマ・ベイというのは意味が重複していることになる。フラダンスが「フラ(=踊り)ダンス(=踊り)」となってしまうのと同じである。

ハナウマ湾
穏やかなビーチが人気のハナウマは、「カーブした湾」という意味

以上、ハワイの有名な地名を紹介した。ハワイの地名は、日本やアメリカ本土と比べるとある程度は地名の意味や由来がわかっている。ハワイの行く先々で地名の意味を調べ、なぜその地名がついたのかさらに調べたり想像を膨らませたりするのも、ハワイの楽しみかたのひとつだと思う。

写真はすべて筆者による撮影

参考文献

  • Mary Kawena Pukui, Samuel H. Elbert『Hawaiian Dictionary (Revised and enlarged edition)』University of Hawaiʻi Press(1986年)
  • Mary Kawena Pukui, Samuel H. Elbert, Esther T. Mookini『Place Names of Hawaii (Revised and expanded edition)』University of Hawaiʻi Press(1974年)