花と植物

月別・季節別にみるハワイの花と歳事記

ゴールドツリー
はじめに 日本在住の方から「今度ハワイに行くときに目当の花が咲いているのかどうかを知りたい」という内容のお便りをいくつかいただいたので、月別・季節別に分けたハワイの花の一覧表を作ることにした。 この表を作るために、私は2018年1月から日々の生活のなかで花の開花時期と咲き具合に特に注意して観察メモをつけ続けてきた。観察は今後も続けていく予定なので、気候の変動によって変化が見られた場合や、ある花は咲かないと思っていた月に開花が観察された場合などには、随時更新していく。 表は、本やネットから得た情報ではなく、私自身の年間を通した観察に基づいて作ったものなので、当然、私が普段暮らしているホノルル市内、特にカイムキ地区やカハラ地区での観察記録が多い。そのため、たとえホノルルでも他の地域とは多少の差異があるかもしれない。あくまでも参考程度にしていただきたい。 ホノルル以外では、オアフ島ワヒアワのカンヒザクラと、マウイ島クラのジャカランダの2種は、特に知りたい方が多いと予想されるので例外的に追加した。 ホノルル市内でも山間部に入ればオーヒア・レフア、コア、マウンテン・ナウパカなどの固有種の花も見られるが、年間を通した開花のデータを得ていないので表には入れていない。 このページに記した植物の解説は省略する。それぞれの花について詳しく知りたい方は、私が公開している姉妹サイト『アヌヘア:ハワイの花・植物・野鳥図鑑』や、近藤純夫さんの著書『ハワイアン・ガーデン 楽園ハワイの植物図鑑』などをご覧いただきたい。 表の記号の見方 たくさん咲いている◎咲いている○少し咲いている、あるいはその月の一部期間のみ咲いている△咲いていない×データ不足? 春の花(3月・4月・5月) プルメリア(グローブ・ファーム) ジャカランダ(シウンボク) ハワイでも春は花の季節。ハワイの都市部で春の訪れを告げる花といえば、やはりプルメリアだろう。冬に全く花をつけないわけではないが、暖かくなると花が増え始め、4月頃には町はふくよかな香りに包まれるようになり、春爛漫を感じさせる。 マウイ島のクラ、プカラニ、オリンダやハワイ島のコハラなどにはたくさんのジャカランダ(シウンボク)が植えられており、春に美しい紫色の花をつける。 森では、コア、マーマネ、アーカラなど多くの固有種たちが春に花のピークを迎える。 3月4月5月オクトパスツリー(ハナフカキ)○○○カンヒザクラ(オアフ島ワヒアワ)×××ゴールドツリー◎◎○ジャカランダ(マウイ島クラ)○○◎シャワーツリー(ゴールデン)×△○シャワーツリー(ピンクアンドホワイト)△△○シャワーツリー(ピンク)×◎○シャワーツリー(レインボー)△△○ハラ???ピーカケ○○○ピタヤ××△プルメリア(オブツサ種)○○○プルメリア(ルブラ種)○◎◎ホウオウボク(ロイヤル・ポインシアナ)△○○ホンコン・オーキッドツリー○○○モンキーポッド△○◎ 夏の花(6月・7月・8月) レインボーシャワー(ウィルヘルミナ・テニー) モンキーポッド ハワイに長く住む人が「ハワイの夏の花といえば?」と聞かれれば、多くがレインボーシャワー、中でも特にウィルヘルミナ・テニーを挙げるだろう。様々なトーンからなるピンク色の花を木いっぱいにつける姿は圧巻である。また、『この木なんの木』で有名なモンキーポッドは、初夏にピンク色の花が満開になる。 6月7月8月オクトパスツリー(ハナフカキ)○◎◎カンヒザクラ(オアフ島ワヒアワ)×××ゴールドツリー○○×ジャカランダ(マウイ島クラ)○××シャワーツリー(ゴールデン)◎○△シャワーツリー(ピンクアンドホワイト)○○△シャワーツリー(ピンク)△××シャワーツリー(レインボー)○◎◎ハラ??△ピーカケ○○○ピタヤ△△△プルメリア(オブツサ種)○○○プルメリア(ルブラ種)○○○ホウオウボク(ロイヤル・ポインシアナ)○○○ホンコン・オーキッドツリー△△△モンキーポッド◎○○ 秋の花(9月・10月・11月) ピタヤ 夏から秋にかけての夜には、「ハワイの月下美人」とも言われるピタヤが1シーズンに数回だけゴージャスで神秘的な花をつける。ホノルルのプナホウ・スクールの生垣が特に有名。 9月10月11月オクトパスツリー(ハナフカキ)◎○○カンヒザクラ(オアフ島ワヒアワ)×××ゴールドツリー×××ジャカランダ(マウイ島クラ)×××シャワーツリー(ゴールデン)△△△シャワーツリー(ピンクアンドホワイト)△△×シャワーツリー(ピンク)×××シャワーツリー(レインボー)○○△ハラ?△△ピーカケ○○○ピタヤ△△△プルメリア(オブツサ種)○○△プルメリア(ルブラ種)○△△ホウオウボク(ロイヤル・ポインシアナ)○○○ホンコン・オーキッドツリー△○○モンキーポッド○○○ 冬の花(12月・1月・2月) カンヒザクラ ホンコン・オーキッドツリー オアフ島の内陸部に位置するワヒアワや、ハワイ島のワイメアでは、日系人によって植えられたカンヒザクラが1月から2月にかけて濃いピンクの花をつけ、町の人たちの目を楽しませる。ワイメアでは1993年より毎年2月に桜祭りも開かれている。また、ラン(オーキッド)に似た紫紅色の美しい花が人気のホンコン・オーキッドツリーも冬に花のピークを迎える。 12月1月2月オクトパスツリー(ハナフカキ)○△△カンヒザクラ(オアフ島ワヒアワ)×△△ゴールドツリー××○ジャカランダ(マウイ島クラ)×××シャワーツリー(ゴールデン)×××シャワーツリー(ピンクアンドホワイト)×××シャワーツリー(ピンク)×××シャワーツリー(レインボー)△△△ハラ△?△ピーカケ△△○ピタヤ×××プルメリア(オブツサ種)△△△プルメリア(ルブラ種)△△△ホウオウボク(ロイヤル・ポインシアナ)△△△ホンコン・オーキッドツリー◎◎◎モンキーポッド△△△ ハワイで一年中見られる花 ビーチ・ナウパカ レッドジンジャー 以下にリストした植物は、私が2018年から観察しているかぎり、時期による大きな変化なく一年を通して花をつけるようなので、表には入れていない。どの時期にハワイを訪れてもこれらの花は見ることができるだろう。 アサヒカズラ(メキシカン・クリーパー)アンスリウムイリマオオゴチョウカエンボク(アフリカン・チューリップツリー)キアヴェククイクラウンフラワーコア・ハオレゴクラクチョウカタビビトノキティアレハイビスカスハウ(オオハマボウ)ビーチ・ナウパカプア・ケニケニブーゲンビリアミロ(サキシマハマボウ)レッドジンジャー

レイの歴史

イリマとピーカケのレイ
古代のレイ 輪状のアクセサリーを首や頭につけるという行為の起源は、古代まで遡ると言われている。骨、歯、貝殻などで作られた古代人のネックレスが世界各地から発掘されているからだ。装飾のため、職業や階級を表すため、権力を誇示するため、愛する人から贈られたため、穢れを祓うため、運気を上げるためなど、身につける理由は様々だったろう。 「レイ」としてのちにハワイで成熟した文化は、アジア経由でポリネシアの島々を伝わっていったとされている。4~5世紀(年代には諸説あり)に南方のマルキーズ諸島やソシエテ諸島からハワイに最初にやってきて定住したとされるポリネシア人は、チャントや踊りなどの豊かな文化を持っていた。レイも彼らの文化の一つだった。万里の波濤をこえてたどりついた新しい土地ハワイでは、レイ作りに適した植物が生い茂り、花が咲き乱れ、カラフルな美しい鳥たちがたくさん住んでいた。ポリネシア人たちは喜んだに違いない。 古典フラを踊る女性。首には伝統的なマイレのレイ、手足にはククイのレイがつけられている | イラスト:崎津 鮠太郎 昔のハワイでは、レイのうちのいくつかは特定の踊り(フラ)や宗教的な儀式に関連したものだった。植物を使った最も初期のレイは、マイレ(maile)の葉と樹皮で作られたものや、ハラ(hala)の実を繋げてネックレスにしたものなどだった。他にも種子、木の実、木、動物の骨や歯、鳥の羽根、貝殻、人の髪の毛などからレイが作られた。 頭につけるものはレイ・ポオ(lei poʻo)、首につけるものはレイ・アーイー(lei ʻāʻī)、手首や足首につけるものはクーペエ(kūpeʻe)と呼ばれた。腕のいいレイ作りの職人は人々から尊敬されていた。 マッコウクジラの歯のレイ マッコウクジラの歯をフックの形に彫り刻んだものを、人の毛髪を使って堅く編んだ紐につけて首にかけるレイは、レイ・パラオア(lei palaoa)、またはレイ・二ホ・パラオア(lei niho palaoa)と呼ばれた。このもっとも崇高なレイは、位の高いアリイ(aliʻi、貴族)のシンボルであったという。 レイ・二ホ・パラオア | 写真:Pharos / Public Domain 鳥の羽根のレイ イイヴィ(ベニハワイミツスイ)| 写真:崎津 鮠太郎 鳥の羽根から作られるレイは、レイ・フル・マヌ(lei hulu manu)と呼ばれた。アリイたちは、自分の権力を誇示するためにさまざまな色や模様のレイ・フル・マヌを持つことを競い合った。そのため、羽根の価値が上がり、鳥を獲るための職業集団ポエ・カハイ・マヌ(poʻe kahai manu)が活躍した。 レイには、森に住む小型の鳥の羽根が主に使われた。黄色い羽根がもっとも価値があるとされ、赤色がそれに続いた。黒色と緑色はもっとも価値が低かった。マモ(mamo)の濃い黄色い羽根がもっとも価値が高かった。オーオー(ʻōʻō)の明るい黄色の羽根が次に価値が高かった。赤い羽根はイイヴィ(ʻiʻiwi)とアパパネ(ʻapapane)から取られた。マモとオーオーは、残念ながら絶滅してしまった。 貝殻のレイ 貝殻から作られるレイは、レイ・プープー(lei pūpū)と呼ばれた。ニイハウ島とカウアイ島で集められたカヘレラニ(kahelelani)やモミ(momi)という貝の殻で作られたレイは、レイ・プープー・オ・ニイハウ(lei pūpū o Niʻihau)と呼ばれ、特に珍重された。長さ約90cmの輪をひとつ作るのに200個以上の貝殻が使われ、レイにするためにはさらに数個の輪を必要とした。 ククイのレイ ククイの実 | 写真:崎津 鮠太郎 1778年に記録上はヨーロッパ人として最初にハワイにやってきたジェームス・クック(Captain James Cook、1728–1779)は、ハワイ人たちがククイ(kukui)の種子をつなげて作ったレイを身につけていたことを記録している。ククイはトウダイグサ科の高木で、古代ポリネシア人がハワイに持ち込んだ植物のひとつである。1959年より『ハワイ州の木』に指定されている。ハワイ人は、熟して木から落ちたククイの実を集め、種子を磨いて光沢のある美しいレイを作った。ククイのレイは、今日でも人気がある定番のレイである。 レイの衰退と復活 クックのハワイ到達以降は、欧米の近代文明とキリスト教がハワイに広がった。フラを踊ることなどのあらゆる伝統的な風俗や行事が制限された。このことは、当然レイ文化にも大きく影響し、ハワイ文化は衰退した。 文化だけではなく、自然への影響も大きかった。それまでハワイにはいなかった種類の害虫や植物が移入され、レイ作りに欠かせない花や鳥の多くが森から消えてしまった。 しかし、クックのハワイ到達から約100年後、ハワイ文化は大きく復興することになる。1874年、デイヴィッド・カラーカウア(David Kalākaua、1836–1891)がハワイ国王になった。メリーモナーク(Merrie Monarch、陽気な王)とも呼ばれたカラーカウアは、フラを始めとしたハワイ文化を大いに復活させた。王の客人の首には豪華な花のレイがかけられた。カラーカウア統治時代の人々は、男も女も毎日レイをつけて盛装した。 19世紀後半から20世紀の初め頃までは、船でハワイに到着したりハワイを出発する観光客一人一人にレイが贈呈された。ハワイを出発するときには、船がダイヤモンドヘッドの沖を通るあたりで客達がレイを海に投げるのがお決まりの儀式のようなものだったという。もしレイが岸に向かって流れていけば、またいつの日かハワイに戻ってくることができると言われていた。 今日、ハワイのレイ文化は歴史上もっとも栄えているだろう。フラのダンサー達は色とりどりの美しいレイを身につけて、人々を魅了する。フラは、今では日本でも大変人気があり、それに伴い日本でのレイメイキングの人気も高まりつつある。 もともとハワイになかった外来植物の花や葉も次々とレイの素材になっていった。さらには植物だけでなく、その他の新しい素材も積極的に使われ、ビーズ、リボン、布地のほか、紙幣、菓子、ゴルフボールなどからもレイが作られる。 アロハスピリットを形にしたもの 空港で、卒業式で、結婚式で、誕生会で、授賞式で、ルーアウ(lūaʻu、宴会)で、そして葬式で——ハワイで暮らしていると様々な場面でレイが登場し、重要な役割を担う。歓迎、送別、祝福、愛、友情、別れなど、それぞれの場面で「アロハ」の思いを込めて、ときには人にレイを贈り、ときには人からレイが贈られる。レイを人の首ににかけて渡すことは、相手に最大の親しみをこめて挨拶をすることであり、友情や愛情を形にして渡すことである。レイは、アロハスピリットの象徴なのである。 参考文献 Marie A. McDonald『Ka Lei: The Leis of Hawaii』Ku Paʻa Incorporated, Press Pacifica(1978年) Ronn Ronck『The Hawaiian Lei: A Traditional of Aloha』Mutual Publishing(1997年) Laurie Shimizu『Hawaiian Lei Making: Step-by-Step...

ハワイの花と植物の歴史

マオ・ハウ・ヘレ
絶海の孤島ハワイ 太平洋の中央に浮かぶハワイ諸島は、最も近い大陸である北アメリカ大陸から3,800kmも離れている。諸島として最も近いマルキーズ諸島でさえ3,900km離れていて、タヒチ島があるソシエテ諸島からは4,400km、フィジーからは5,100km、東京からは6,200kmも離れている【図1】。ハワイは、群島としては地球上で最も孤立した、まさに絶海の孤島なのである。この隔絶が、ハワイに唯一無二の植物相をもたらした。 【図1】地球上のあらゆる大陸や諸島から孤立しているハワイは、まさに絶海の孤島と呼ぶにふさわしい ハワイの在来植物の先祖たち ハワイの在来植物には、約1,160種の顕花植物(花を咲かせる植物)とシダ植物がある。そのうち、顕花植物の90%、シダ植物の75%がハワイのみに分布する固有種である。この固有種の比率は、世界のどの地域よりも高い。 在来植物のうち顕花植物は約1,000種だが、それらのすべては、数千年前、もしかしたら数百万年前にハワイにたどり着いて定着した約270種の植物から派生したとされている。270という数は、ハワイが地球上で最も隔絶した島々であることを思うと多いように感じるかもしれない。しかし、約500万年に誕生したカウアイ島を例にして大雑把に計算すると、ひとつの植物が定着する頻度は、1万8,500年に一度ということになる。北西ハワイ諸島でもっとも古いクレ環礁の誕生を3,000万年前として計算するならば、なんと約11万年に一度ということになる。人間の時間感覚では、もはや奇跡の270種と言っていいだろう。ハワイにたどり着いたとしても、ほとんどの場合はハワイの気候や環境がその種が生育に適していないために定着できなかったに違いない。 ハワイの在来種の祖先の多くは、インド太平洋からやってきたと考えられている。不思議なことに、ハワイに最も近いアメリカ大陸からやってきたとされる植物は全体の18%でしかない。 運よくハワイにたどり着き、定着することができた約270種が、現在見られるハワイの在来顕花植物に派生し進化した。そのためハワイの植物相は、世界の標準とは少し異なる。ランの仲間は被子植物ではもっとも種の数が多い科であるが、ハワイ在来のラン科の植物はわずか3種しかない。ヤシの仲間は、ハワイ語でロウル(loulu)と呼ばれる、Pritchardia属の固有種群があるのみである。スギやマツなどの針葉樹の仲間はひとつもない。 【図2】ハワイに定着した約270種の植物がハワイに到着した方法の割合 「A Guide to Hawaiʻi’s Costal Plants」(Michael Walther著、2004年)によると、約270種のうち、約1.4%は風によって運ばれ、約22.8%は海を浮遊して漂着したと考えられている【図2】。種子が海流に乗ってハワイに漂着して定着した植物の例として、ウィリウィリ(wiliwili、学名:Erythrina sandwicensis)、ハラ(hala、学名:Pandanus tectorius)、ポーフエフエ(pōhuehue、学名:Ipomoea pes-caprae)などが挙げられる。 左:ハラの幹と気根、右:ポーフエフエの花 残りの75.8%は、鳥によってはるばるハワイまで運ばれてきたと考えられている。ハワイは、多くの渡り鳥の越冬地や中継点である。大陸や他の島の植物の種子が、これらの渡り鳥や、何らかの理由で偶然ハワイにたどり着いた鳥の足の泥に混ざっていたり、羽にくっついたり、あるいは消化管の中に入っていたりして、ハワイに運ばれてきたのである。 ハワイで越冬する渡り鳥のひとつ、ムナグロ ポリネシア人とカヌープラントの到来 左:ノニの実と花、右:ククイの花。どちらもポリネシア人によってハワイに持ち込まれた 長いあいだ在来植物に覆われていた無人の島ハワイだが、人間が住むようになってからその自然相は大きく変わることになる。 ハワイへの最初の定住民であるポリネシア人は、4~5世紀に、南方のマルキーズ諸島やソシエテ諸島からカヌーに乗ってハワイにやってきたと考えられている(年代には諸説ある)。彼らは、衣食住に必要ないくつかの植物をハワイに持ち込んだ。カロ(タロ)、ウル(パンノキ)、ニウ(ココヤシ)、コー(サトウキビ)、ククイ、キー(ティ)などである。これらの有用植物は、カヌーに乗ったポリネシア人によってハワイに持ち込まれたため、カヌープラント(canoe plants)と呼ばれる。どれもハワイの伝統文化を語るには欠かせない植物ばかりであり、ニウやキーのように、今日のハワイの景観を決定づける大きな要素になっている植物も多い。 今日のハワイの風景に欠かせないココヤシ 彼らは農地を開き、彼らが持ち込んだ有用植物を植えた。屋根を葺く材料になるピリの草を育てるために、特にリーワード(貿易風の風下側の地域)の広大な面積の森を焼いた。ブタ、イヌ、ネズミも持ち込まれ、今日まで続く外来種の侵略の始まりとなった。 キャプテン・クックのハワイ到達以降 1778年にジェームス・クック(Captain James Cook、1728–1779)が、記録上は最初のヨーロッパ人としてハワイに到達して以降、ハワイの生態系は劇的に変化した。森の木は次々と切り倒され。ウシ、ウマ、ヤギ、ブタ、シカ、ヒツジなどの有蹄類(ゆうているい。ひづめを持つ哺乳類)が持ち込まれた。ブタは、ポリネシア人がプアア(puaʻa)と呼んでいた小型種がすでに持ち込まれていたが、新たにヨーロッパ産の大型種が持ち込まれた。それらのブタやヤギが野生化して草木を食い荒らし、外来植物の種を広げた。花粉を媒介する鳥や虫がいなくなり、そのため多くの植物も絶滅した。 「Flowers and Plants of Hawaiʻi」(Paul Wood著、2005年)によると、現在ハワイの土地全体の約50%が牧草地であり、約30%が農園と住宅地、残りの約20%が、森や平原などの自然環境であるという。そのわずかな自然環境も、外来の帰化植物に圧倒されていて、在来植物たちは追いやられている。ハワイの在来植物の約40%が、すでに絶滅したか、絶滅の危機に瀕している。アメリカ国内に生息する植物のなかで合衆国によって絶滅危惧種(「Threatened」もしくは「Endangered」)に指定されている種の数は、ハワイ州が最も多い。固有種王国ハワイは、残念ながら、絶滅危惧種の王国でもあるのだ。 左:ナーヌー(Gardenia brighamii)、右:コオロア・ウラ(Abutilon menziesii)。いずれも絶滅の危機に瀕しているハワイ固有種 クックのハワイ到達後の200年で、5,000種以上もの植物が、主にアジアやアメリカの熱帯地域からハワイに移入された。今日、ハワイの道端、庭、郊外の景色を形成する植物のほとんどがこれらの外来種である。ワイキキ(オアフ島)、カイルア・コナ(ハワイ島)、プリンスヴィル(カウアイ島)などのリゾート地に植えられている熱帯植物は、世界各地のトロピカルリゾート地で見られるそれと変わらない。 左:プルメリア、右:ヘリコニア ハワイで人気があるプルメリアも、ピーカケも、シャワーツリーも、ティアレも、ヘリコニアも、ジンジャーも、ブーゲンビリアも、バードオブパラダイスも、リリコイも、モンキーポッドも、すべてこの200余年の間にハワイにやってきた新しい植物たちだ。ハワイは、在来植物のなかの固有種の比率が世界一高いいっぽう、外来植物の数が世界で最も多い場所でもある。 固有種王国であり、絶滅危惧種王国であり、外来種王国でもある——ハワイの植物相がいかに特殊なものであるか、これだけでもわかる。 写真はすべて筆者による撮影

ハワイでハイキング:オアフ島最高峰カアラ登山

カアラ山頂からみたノースショア方面
目立たない最高峰 私が住んでいるオアフ島で一番高い山は、島の西側のワイアナエ山脈にある、カアラ(Kaʻala)という山である。高さは1,225メートル。山容は、頂が平らになった台形をしていて、あまり目立たない。ホノルルからもよく見えるが、あの山がオアフ島の最高峰であることを知っている人は少ない。 カアラ登山 カアラ山には、過去に二度登ったことがある。山頂まで登る道はいくつかあるようだが、私は二度とも島のリーワード側から登った。入り口は、ワイアナエという町からしばらく山側にはいったところにある。 登山口からしばらくは塗装されたゆるやかな登り道だが、やがて塗装道路が終わり尾根道になる。尾根道がおわると、あとは急な斜面をひたすら登ってゆく。特に景色も見られず、単調な登山だ。 我慢してしばらく登るとコア、オーヒア、マイレなどの在来植物があわられはじめ、やがてカマイレウヌ(Kamaileʻunu)という尾根の頂上にでる。尾根の上から見下ろす、ワイアナエ・バレーの景色が素晴らしい。 ここからさらに登りは続く。ちょっと恐ろしいくらいの巨大な岩をよじ上る場所もある。設置してある補助用のロープを使いながら登る。 斜面を登りきると、道は急に平坦になる。この山を遠くから眺めたときに平らに見える頂上部分だ。この平坦な場所は湿原(ボグ)になっていて、カアラ自然保護地区(Kaʻala Natural Area Reserve)に指定されている。ここからは、ハイカーが自然環境を壊さずかつ安全に歩けるように敷かれた板の歩道をゆく。ピロやオーラパなど、ハワイ原産の植物がたくさんみられた。 ピロ(カアラ山頂) オアフ島では生息数がさほど多くないアパパネ(アカハワイミツスイ)が、木々の間を飛んでゆく。さえずりも聞こえてくる。まるでカウアイ島のコーケエ州立公園にでもやってきたかのような気分になった。 湿原が終わると板の歩道もなくなり、少し進むと「End of Hiking Trail」という看板がある。近くに島の北側を見渡せる景色の良い場所があるのでそこで弁当を食べた。 アパパネ(アカハワイミツスイ) 帰りは、来た道をひたすら下っていく。往復距離13キロ、高低差1,000メートル、往復8時間のハイキングだ。オアフ島のハイキングコースでは中~上級者向けのコースに入るだろう。しばらく行っていないので近いうちに3度目のカアラ登山を試みたいと思っている。 カアラに住む女神カイオナ カアラ山には、カイオナという慈悲深い女神が住んでいると云われている。山で道に迷った人がいると、カイオナの使いであるイヴァ(オオグンカンドリ)が道案内をして助けてくれるという。私は2回とも道に迷わなかったからなのか、イヴァの姿は見られなかった。 写真はすべて筆者による撮影 ※この記事は、筆者の主観に基づいたハイキング日記であり、読者の皆様を安全なハイキングへと導くトレイルガイドではありません。この記事を参考にして実際にトレイルに行かれる場合は、必ず「ハワイでハイキング:はじめに」をお読みください。

ハワイでハイキング:イリアウ・ネイチャー・ループ(カウアイ島)

イリアウとワイメア渓谷
初夏の花 5月から7月にかけて、カウアイ島の山地ではイリアウ(iliau)という珍しい植物が花の季節を迎える。カウアイ島西部のワイメア渓谷州立公園(Waimea Canyon State Park)には、イリアウ・ネイチャー・ループ(Iliau Nature Loop)というファミリー向けのトレイルがあり、このイリアウを簡単に見つけることができる。また、トレイルからはワイメア渓谷の絶景を望むこともできる。 イリアウの花 イリアウは、キク科の低木で、カウアイ島のみに分布する希少な固有種である。マウイ島とハワイ島の高山地帯に自生するギンケンソウ(シルバーソード)の近縁種である。イリアウやギンケンソウについてもっと詳しく知りたい方は、私が制作している姉妹サイト『アヌヘア:アヌヘア:ハワイの花・植物・野鳥図鑑』のイリアウやギンケンソウをご覧いただきたい。 関連記事 イリアウ アヌヘア:ハワイの花・植物・野鳥図鑑 トレイル概要 名前Iliau Nature Loop場所カウアイ島ワイメア渓谷(Waimea Canyon)。リーフエ空港から約54km駐車場路上駐車トイレなし。最寄りのトイレは、State Hwy. 550をさらに約3km(車で約5分)北上したワイメア渓谷展望台(Waimea Canyon Lookout)高低差12m以下距離一周約400m時間30分~1時間(ただ歩くだけなら10分程度で一周できる) トレイル入り口までの行き方 地図 車で行く場合(リーフエ空港から) 空港を出てAhukini Rd.を西に約2km(1.3マイル)進み、HI-56 S(Kuhio Hwy.)の丁字交差点を左折。HI-56 SはすぐにHI-50 W(Kaumualii Hwy.)になる。HI-50 Wを西へ約37km(23マイル)進む。ワイメア(Waimea)の町に入る。右手にキャプテン・ジェームス・クックの銅像、Big Save Market(スーパーマーケット)を過ぎる。Waimea Canyon Dr.(State Hwy. 550)との丁字交差点を右折(信号なし)。Waimea Canyon Dr.を約13km(8.3マイル)進む。「MILE 8」の標識を過ぎたら、やがて右側に緊急用の電話があり、そのすぐそばにトレイルの入り口がある(「MILE 9」の標識まで行くと行き過ぎ)。道路左手に車数台が縦に駐車できるので、ここに路上駐車する。 ハイキング イリアウ・ネイチャー・ループの入り口 車をとめて、道路から見えるベンチがトレイルの入り口。ベンチに向かってわずかに登ったあと、すぐに下り道になる。最初のセクションは、イリアウ・ネイチャー・ループの一部であるとともに、ククイ・トレイル(Kukui Trail)も兼ねている。ククイ・トレイルは、渓谷の底まで降りる長いトレイルである。 イリアウ・ネイチャー・ループ トレイルに入るとすぐに、ひょろひょろとした細長い幹の先に剣のような葉をたくさんつけた不思議な形の植物が群生している。これがイリアウである。5~7月ならクリーム色の花をたくさんつけているイリアウも多くみられるだろう。 イリアウ(開花時) やがて丁字路がある。直進するとククイ・トレイル、左折するとイリアウ・ネイチャー・ループである。ここを左折。すぐに右手の景色がひらけ、ワイメア渓谷を見下ろせる崖の上にでる。景色は素晴らしいが、落下防止の柵などは設置されていないので注意が必要。 ワイメア渓谷 崖からは、渓谷の上空を優雅に飛ぶシラオネッタイチョウ(ハワイ語名はコアエ・ケア)を見ることができるだろう。私が2017年5月に訪れたときには、カウアイ・アマキヒの鳴き声も聞こえたが、姿は確認できなかった。 トレイルでは、イリアウの他にもオーヒア・レフア、アアリイ、プーキアヴェなど、カウアイ島の山に自生する様々な植物を、名前や学名が記された標識付きで観察することができる。 オーヒア・レフア(左)とイリアウ(右) トレイルは、一周して再びスタート地点に戻って来るループになっているので、来た道を戻る必要はない。ただ歩くだけなら10分程度で一周できる。カウアイ島で軽くハイキングをしてみたい人にはぴったりのトレイルだ。ただし、ハワイの多くのトレイル同様、トイレや売店は近くにないので、注意が必要である。 写真はすべて筆者による撮影 ※この記事は、筆者の主観に基づいたハイキング日記であり、読者の皆様を安全なハイキングへと導くトレイルガイドではありません。この記事を参考にして実際にトレイルに行かれる場合は、必ず「ハワイでハイキング:はじめに」をお読みください。

ハワイでハイキング:ライアン樹木園のアイフアラマ滝(オアフ島)

チャイニーズグラウンドオーキッド
樹木園内をハイキング ホノルル市内に数多くある森林トレイルで、観光客やファミリーに1番人気のトレイルは、おそらくマーノア・バレー(Mānoa Valley)の奥にあるマーノア滝(Mānoa Falls)へ行くコースだろう。こちらのコースもいずれ紹介したいが、今回は、その隣にあるライアン樹木園(Lyon Arboretum)内のアイフアラマ滝(ʻAihualama Falls)までハイキングに出かけた。 ライアン樹木園(Lyon Arboretum)は、オアフ島マーノア・バレーの奥部に位置する樹木園。194エーカーという広大な敷地に、5,000種以上の熱帯植物が植えられている。 ハワイ大学によって管理されており、ハワイのユニークな植物相の研究や保護が行われている。また植物だけでなく、鳥、昆虫、川辺の生態系、気象、土壌、水文学など、様々な分野での研究の場、教育の場となっている。一般市民向けのセミナーやヨガなどのイベントも頻繁に行われている。 開園日と時間は、2017年5月現在、以下の通り。 月曜~金曜:午前8時~午後4時土曜:午前9時~午後3時休園日:日曜、州・国の祝日 トレイル概要 名前Lyon Arboretum場所オアフ島ホノルル(Honolulu)。McCully Shopping Centerから約7km駐車場ありトイレあり高低差約70m距離往復約2km時間往復2~3時間(トレイル入口まで行く時間は除く。筆者は頻繁に長い時間立ち止まって写真を撮ることが多いので、あくまでも目安) トレイル入口までの行き方 地図 車で行く場合(McCully Shopping Centerから) Kapiʻolani Blvd.を東(ダイヤモンドヘッド方面)に進む。University Ave.を左折。S King St.との交差点を直進。H1フリーウェイの下を通りすぎる。ハワイ大学を右手に通りすぎる。Oʻahu Ave.を道なりに右折(曲がり角はゆるやかで信号機はない)。E Mānoa Rd.を直進(信号機あり)。信号機がない5叉路で、Mānoa Rd.を右折。マーノア・フォールズ・トレイル(Mānoa Falls Trail)の駐車場を右手に通り過ぎる。鬱蒼とした森のなかを、Mānoa Rd.の終点まで進む。マーノア・フォールズ・トレイルの入り口手前を左折。Mānoa Rd.の終点に、ライアン樹木園(Lyon Arboretum)の駐車場がある。 バスで行く場合(アラモアナセンターから) 山側(Kona St.)のバス停からマーノア方面行きの5番バスに乗り、Mānoa Rd. + Kumuone St.で下車(乗車時間約30分)。バス停からライアン樹木園まで徒歩約20分。 まずは管理事務所へ 駐車場から奥に進むと、樹木園の管理事務所がある。ここで入園者全員の名前を記入する。入園料は定められていないが、寄付箱があり、一人5ドルの寄付が求められている。管理事務所では、樹木園やトレイルの地図が掲載されたパンフレットや、野鳥のチェックリストなどをもらうことができる。なお、敷地内にレストランやカフェはないが、ギフトショップで飲み物やスナックは販売されている。 トレイルのスタート地点は、駐車場の入り口近く(管理事務所の反対側)にある。敷地内はよく整備されており、標識も点在しているので、道に迷うことはあまりないだろう。 また、トレイルから外れたエリアにも様々な植物が植えてあり、種名、科名、学名などが記されたプレートがそれぞれに設置されているので、植物見学に適している。 コキオ(kokiʻo)と呼ばれる、ハワイ固有のハイビスカス 例えば、Native Hawaiian Plant Garden(ハワイ在来植物の庭)では、コア、オーヒア・レフア、ハイビスカスなどのハワイ在来の植物が植えられており、Hawaiian Ethnobotanical Garden(ハワイの民族植物学の庭)では、オヘ(南太平洋原産の竹)、ウアラ(サツマイモ)、キー(ティ)など、古代ハワイ人が衣食住のための道具や材料として利用した植物が植えられている。 また、Great Lawnと呼ばれる芝生広場もあり、ここでピクニックを楽しむ地元の家族連れも多い。私が出かけた日は、男性がフライフィッシングのキャスティング練習をしていた。 メイントレイルとサイドトレイル メイントレイル 滝に向かうメイントレイル(本道)は、駐車場から北に伸びている。ほかにも、さまざまなサイドトレイルが本道から分かれている。サイドトレイルからは、Fern Valley(シダの谷)、Bromeliad Garden(アナナスの庭)、Inspiration Point(インスピレーション・ポイント)、Hawaiian Section(ハワイアン・セクション)などのエリアに行くことができる。 インスピレーション・ポイント アイフアラマ滝 メイントレイルの終点は、アイフアラマ滝(ʻAihualama Falls)という小さな滝である。滝がある川はアイフアラマ川(ʻAihualama Stream)で、ハワイ大学東側やアラワイのゴルフコース西側を通ってアラワイ運河に注ぐマーノア川(Mānoa Stream)の支流である。 アイフアラマ滝 滝の近くでは、チャイニーズグラウンドオーキッド (Chinese ground orchid)が綺麗な花をつけていた(ページトップの写真)。中国やオーストラリアなどが原産のランで、ハワイでは外来種としてカウアイ島、オアフ島、ラーナイ島、ハワイ島で自生している。 滝を楽しんだあと、来た道を戻った。 写真はすべて筆者による撮影 ※この記事は、筆者の主観に基づいたハイキング日記であり、読者の皆様を安全なハイキングへと導くトレイルガイドではありません。この記事を参考にして実際にトレイルに行かれる場合は、必ず「ハワイでハイキング:はじめに」をお読みください。

ハワイでハイキング:プウ・ピア(オアフ島)

プウ・ピア・トレイル(ホノルル市)
マーノアの小さな丘 東京からハワイに遊びに来ていた友人を連れて、マーノア・バレー(Mānoa Valley)の奥に小高く盛りあがった、プウ・ピア(Puʻu Pia)という小さな丘に登った。 ハワイ語でプウ(puʻu)は、丘という意味。ピア(pia)は、タシロイモというヤマノイモの一種のこと(学名:Tacca leontopetaloides)。ピアは、古代ポリネシア人がハワイに持ち込んだ有用植物のひとつで、ハワイの伝統的なプディング、ハウピアの材料として知られる。つまりプウ・ピアは「タシロイモ丘」という意味である。昔はこの丘にタシロイモがたくさん生えていたのだろうか。 トレイル概要 名前Puʻu Pia場所オアフ島ホノルル(Honolulu)。McCully Shopping Centerから約6km駐車場路上駐車トイレなし高低差約150m距離往復約3.2km時間2~3時間(トレイル入口まで行く時間は除く。筆者は頻繁に長い時間立ち止まって写真を撮ることが多いので、あくまでも目安) トレイル入口までの行き方 地図 車で行く場合(McCully Shopping Centerから) Kapiʻolani Blvd.を東(ダイヤモンドヘッド方面)に進む。University Ave.を左折。S King St.との交差点を直進。H1フリーウェイの下を通りすぎる。ハワイ大学を右手に通りすぎる。Oʻahu Ave.を道なりに右折(曲がり角はゆるやかで信号機はない)。すぐにE Mānoa Rd.を右折(信号機あり)。Mānoa Marketplaceを右手に通りすぎる。Akāka Pl.とのY字路を右(E Mānoa Rd.)に進む。Alani Dr.を左折。道が右に直角にカーブしWoodlawn Dr.になる付近に路上駐車する。 バスで行く場合(アラモアナセンターから) マーノア方面行きの6番バスに乗り、Alani Dr.で下車。バス停番号:783。バス停からトレイルの入り口はすぐ近い。 ハイキング開始 プウ・ピア・トレイル入口付近 11時30分にハイキングをスタートした。曇り時々雨。 Woodlawn Dr.の右カーブの手前に、Nā Ala Heleの茶色に黄色い文字の標識がある。Nā Ala Heleは、ハワイ州のトレイルを管理している組織だ。ここから先のAlani Dr.は1車線になり、私道のような雰囲気だが、ここを通り終点まで進む。最後の民家をすぎると、トレイルの入り口がある。 舗装道路が終わると、砂利道になり、やがて土の地面になる。すぐに標識があり、右に曲がる広いトレイルがある。このトレイルはコロワル・トレイル(Kolowalu Trail)といい、ワアヒラ・リッジ(Waʻahila Ridge)へと登る道である。我々はプウ・ピアに登るので、まっすぐ進む。 暗い森の中で、1羽のアカハラシキチョウが出迎えてくれた。トレイルまで出てきたので間近で見ることができた。この日観察できた野鳥は、この1羽だけだった。長い尾を持つアジア原産の鳴禽で、黒い体にオレンジ色の腹が目立つ。さえずりがとても美しい。 関連記事 アカハラシキチョウ アヌヘア:ハワイの花・植物・野鳥図鑑 マーノアは今日も雨だった 木の根と岩がむきでた道は、緩やかな上り坂。やがて雨が降ってきた。前回このトレイルに来たときも雨だった。マーノアは雨が多い。ここでのハイキングは、いつもある程度の雨は想定しておかなければならない。雨具はマストアイテムだ。たとえハイキング時に晴れていても、地面はぬかるんでいたり水たまりがあることが多い。 プウ・ピアの頂上からの眺め 頂上に近づくにつれ、ストロベリーグアバが目立ち始める。40分ほどで頂上に到着した。頂上には、背もたれのない細いベンチがひとつ設置してある。手前の木々が生い茂っていて景色はあまり見えないが、靴を脱いでベンチの上に立てば、マーノアバレー、その奥にワイキキのビル群、そして一番奥に海が見えた。幸い、頂上では雨が止み、晴れ間がのぞいた。 マーノア・バレーとコアの木 マーノアバレーの奥側の景色は、ここより少し手前の開けた場所のほうがよく見える。手前にはコアの木が生えている。マウンテン・ナウパカもみられたが、花は咲いていなかった。どちらとも、ハワイにしか生息していない固有種だ。耳をすますと、マーノア・バレーの奥のほうで滝が落ちる音が聞こえる。これは、ハイキングコースとして家族連れにも人気があるマーノア・フォールズ(Mānoa Falls)の滝の音と思われる。 関連記事 コア アヌヘア:ハワイの花・植物・野鳥図鑑 関連記事 マウンテン・ナウパカ アヌヘア:ハワイの花・植物・野鳥図鑑 帰りは来た道を下るが、また雨が降り出した。今度は本降りだ。特に下り道は滑りやすいので、足元に注意しながら下った。ハイキング後、アロハタワー・マーケットプレイスのゴードン・ビアッシュ(Gordon Biersch)で遅めのランチをとった。マーノアからほんの数キロしか離れていないにもかかわらず、アロハタワーやワイキキは、いつものように快晴だった。ついさっきまでマーノアで雨でずぶ濡れになっていたのが嘘のようだった。 写真はすべて筆者による撮影 ※この記事は、筆者の主観に基づいたハイキング日記であり、読者の皆様を安全なハイキングへと導くトレイルガイドではありません。この記事を参考にして実際にトレイルに行かれる場合は、必ず「ハワイでハイキング:はじめに」をお読みください。